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©石井新太郎(栃木県宇都宮市)

第21回重要文化的景観「平戸島の文化的景観」
現地見学会・研究会報告

今回の現地見学会・研究会は、重要文化的景観「平戸島の文化的景観」の長崎県平戸島を訪ねた。長崎県平戸市との共催で行いました。参加者は35名。
 「平戸島の文化的景観」は平成22年2月に国の重要文化的景観に選定を受けた。景観の特徴は、①棚田・棚畑など「農耕に関する景観地」、②溜池・水路・港など「水の利用に関する景観地、③防風石垣・屋敷林など「居住に関する景観地」が複合的に組み合わさって、良好な集落景観を形成している。集落の棚田は1600年時代から造成されていたことが、絵図や文献などで証明される。また、16世紀のキリスト教布教以降、厳しい弾圧に耐え、当時の信仰形態を継承する「かくれキリシタン」信仰が残る地域でもある。
  第1日目は重要文化的景観選定地地域の見学、2日目は「中山間地域活性化研究会」を開催し、地元からも約20名もの参加者があり盛況な研究会となりました。

「春日の棚田」です。

県道から直接見ることができない棚田であるので、平戸に住んでいる人でもこれほどの棚田があることを知らないのではないでしょうか?
春日の棚田は、棚田100選に選ばれていないが、それらの棚田に引けを取らない美しさがあります。壮大な石垣の棚田でした。

春日地区の棚田を一望できる高台の見晴台です。

春日の棚田の高低差は150mを超え、谷あいに広がる棚田です。聖山「安満岳(やすまんだけ)」の豊かな水源としている。

「獅子の棚田」です。

海に面した棚田です。集落の方たちが棚田を地域の宝として守っています。

飯良(いいら)地区の整然と積み上げられた集落内の石垣と防風林です。海からの潮風や飛石を防ぐために発達した防風林が特徴的であり、迷路のような小道や高石積み、伝統的木造家屋が多く密集するその集落構造は、文化的景観地域の中でも、際立って特徴的である。

「紐差(ひもさし)教会」です。
 平戸島では、16世紀のキリシタン時代にキリスト教の布教があって以来、繁栄、弾圧、潜伏、復活という一連の歴史の中で、一貫して信仰を継続させてきました。他宗教に混じりながら、200年以上に及ぶ長い潜伏期間を過ごすことで、信仰の形態は次第に変容し、民間信仰や神道・仏教の要素などが加わり、文化的・宗教的重層性が深まった。現在、仏教、神道、カトリック、かくれキリシタンなど多様な信仰が存在し、文化や民族芸能、聖地などを共有しながら、地域のコミュニティを形成している。

「宝亀(ほうき)教会」の中を見学しました。小さな宝亀集落の最奥地の山間にひっそりと佇み、信仰に支えられた住民の祈りの声が聞こえて来るような教会でした。どちらの教会でも女性信徒が庭を掃き、建物内を清掃していた。

懇親会です。

生月大橋の入口の漁師食堂「母々(かか)の手」で行なった。

平戸市教育委員会教育長・吉居辰美氏のスピーチ、春日地区の役員さん4名の挨拶などもあり、2時間はあっという間に過ぎた。

目の前の白石漁港から獲れる旬の地魚、その場で獲れたものなので鮮度抜群が最大の魅力!!この日のお刺身は鯛、イサキ、水イカ、クロ、ムツ、など他にも、煮物、揚げ物、炊き込みご飯、柏餅、カマの煮物などなど、食材はすべて地元産とのこと。量にも質にも圧倒された。


 2日目の「中山間地域活性化研究会」は、棚田学会と平戸市教育委員会との共催で行いました。会場は春日公民館で地元の人達20名も加わりました。

先ず、吉居辰美・平戸市教育委員会教育長の開会挨拶がありました。

勉強会の話題提供は5本。長崎県、平戸島、春日地区という流れの3本の発表と、九州の重要文化的景観2地区についての発表とで構成された。

斉藤正一氏

長崎県農林部・斉藤正一氏が「長崎県内の棚田百選及びだんだん畑十選地域の活性化について」農林部としての支援策の説明があった。

      研究会の様子

平戸市教育委員会・植野健治氏が「平戸島の文化的景観について」を紹介された。
 美しいから残すのではなく、背景の地域活性化が鍵であること、「16世紀にもたらされた西洋文化に基づく景観形成のプロセス」という意義を強調。真板昭夫教授(京都嵯峨芸術大学)による地域の宝探し~宝磨き~宝伝えを始めることが紹介された。

寺田一男氏

春日地区まちづくり協議会「安満の里 春日講」会長・寺田一男氏が、「重要文化的景観を活かしたまちづくりについて」を紹介された。
 春日の棚田の四季が示され、地域ブランドをどうつくるかの取り組みを紹介された。検討中のコメ袋のデザインも会場に展示されていた。

五十嵐 勉氏

佐賀大学・五十嵐勉准教授が、重要文化的景観である佐賀県蕨野の棚田をテーマとした「棚田と重要文化的景観の保護・活用を考える」を紹介された。

蕨野は蕨野の方法で現在に至っており、単純な模倣ではいけないこと、重要文化的景観に選定後も「景観を壊さない」範囲内で、生産性を高めるための事業は可能であることを強調。

海老澤 衷氏

早稲田大学・海老澤衷教授より、重要文化的景観である大分県国東郡の「田染荘小崎の景観と歴史」を紹介された。
 特徴として、歴史研究者との連携、その時期の先端的農業政策の導入、そして棚田学会が両者を結びつけたことを紹介。



安井一臣・棚田学会理事の進行で総合討論に入った。

論点を春日モデルのあり方と中山間地域論に絞り込みました。

会場から地元の人を含めて多くの意見が出され活発な討議が行われた。

最後に山路永司・棚田学会理事が講評を行った。

 

集合写真
春日地区の今後の発展を祈念して、公民館で全員の集合写真を撮る。

現地見学会・研究会は有意義な二日間でした。長崎県、平戸市の役場の皆さま・関係者には大変お世話になりました。お陰で、重要文化的景観「平戸島の文化的景観」を知ることが出来るとともに、地元の歴史を知り、地元の人達との触れ合いができました。ありがとうございました。
(尚、本文の一部は平戸市のHP、パンフレットから引用させて頂きました)



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